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2019.10.25更新

連載「収益認識に関する会計基準」

 

契約に基づく収益認識の原則

 

2019年10月25日改訂版 弁護士・公認会計士 片山智裕

A4小冊子 8ページ

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目次 


1 「収益認識に関する会計基準」(日本基準)の概要

2 開発にあたっての基本的な方針

3 契約に基づく収益認識の原則

4 資産負債アプローチ

5 配分後取引価格アプローチ

6 履行義務アプローチ

7 支配アプローチ

8 基本となる原則

 

概要


 

1.「収益認識に関する会計基準」(日本基準)の概要


 我が国の企業会計基準委員会(ASBJ)は,平成30年3月30日,企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「本基準」といいます。)及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「本指針」といいます。本基準及び本指針を併せて「新基準」といいます。)を公表しました。

● 適用企業

● 適用時期

 

2.開発にあたっての基本的な方針

 

 ASBJは,国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下「IFRS第15号」といいます。)のコンバージェンス(日本基準化)として「収益認識に関する会計基準」を開発しました。

 IFRS第15号は,従来の稼得過程アプローチ(実現主義の原則)を規律するため,基本的な原則として,契約に基づく収益認識の原則を採用しています。

 

3.契約に基づく収益認識の原則


 契約に基づく収益認識の原則とは,企業が顧客との契約から生じる資産又は負債の会計処理に基づき財又はサービスを顧客に移転した時にのみ収益を認識するという原則をいいます(IFRS/BC 17,20)。

 契約に基づく収益認識の原則は,以下の原理を包含しています。

● 収益は,契約が成立(存在)するまで認識できない(IFRS/BC 19)。
● 収益は,契約から生じる企業の契約に関する権利(資産)と契約に関する義務(負債)の会計処理に基づいて認識する(資産負債アプローチ,IFRS/BC 17)。
● 財又はサービスを提供する義務(負債)の測定を,取引価格を契約における各履行義務に配分して行う(配分後取引価格アプローチ,IFRS/BC 19,25)。
● 契約に基づき財又はサービスを提供する義務は,企業の履行をそれと交換に得る対価の額で忠実に描写するために適切な単位(履行義務)に区分する(履行義務アプローチ,IFRS/BC 20,85)。
● 企業は,約束した財又はサービスに対する支配を顧客に移転した時に,財又はサービスを提供する義務を充足する(支配アプローチ,IFRS/BC 20,117)。

 

4.資産負債アプローチ

 

 企業が顧客との間で契約を締結した時は,対価を受け取る権利の測定値と財又はサービスを提供する義務の測定値は等しく,資産負債の純額(ネット)は零ですが,その後,企業が財又はサービスを提供する義務を履行した時は,その義務が消滅する(義務の測定値が零に減少する)ため,対価を受け取る権利の測定値だけ契約における資産のポジションが増加し,その増加が収益認識につながります(IFRS/BC 20)。

 IFRS第15号は,契約に関する権利(資産)と契約に関する義務(負債)を認識・測定し,契約の存続期間にわたって資産又は負債の変動に焦点を当てるアプローチ(資産負債アプローチ)を採用します。

 

5.配分後取引価格アプローチ

 

● 取引価格

 対価を受け取る権利(資産)の測定は,基本的には企業に流入することなる顧客が約束した契約上の対価(契約価格)を基礎とし,企業が契約上の義務の履行と交換に対価の権利を得ると見込む額を算定することにより行います。

 

● 配分後取引価格アプローチ

 契約に基づく収益認識の原則では,契約における取引開始日から企業が財又はサービスを提供する義務を充足するまで収益を認識してはならないため,その間,対価を受け取る権利(資産)の測定値が,単一又は複数の履行義務の測定値(の合計)を上回ってはなりません。

 したがって,対価を受け取る権利(資産)を取引価格で測定する以上,履行義務(負債)についても,単一であれば取引価格と同額で測定し,複数であれば取引価格をそれぞれの履行義務に配分する考え方が適しています。

 IFRS第15号は,財又はサービスを提供する義務(負債)の測定を,取引価格を契約における各履行義務に配分して行うアプローチ(配分後取引価格アプローチ)を採用します(IFRS/BC 19,25)。

 

6.履行義務アプローチ


 契約に基づく収益認識の原則では,会計(収益)の単位が契約の単位になるわけではなく,1つの契約から複数の義務を識別する場合もあります。配分後取引価格アプローチでは,企業が義務を履行した時に,当該義務に配分されている当該義務の履行と交換に得る対価の額で収益を認識するので,財又はサービスを提供する義務は,企業の履行をそれと交換に得る対価の額で忠実に描写するために適切な単位に区分して識別する必要があります(IFRS/BC 85)。
  顧客との契約から生じる財又はサービスを提供する義務を単一又は複数に適切に識別した負債の単位を履行義務といい,1つの契約の中に財又はサービスを提供する義務が複数ある契約を複数要素契約といいます。

 

7.支配アプローチ

 

 IFRS第15号は,会計における資産の概念と従来の稼得過程アプローチにおける実務に整合するように,“履行義務を充足する”とは“財又はサービス(資産)を顧客に移転する”ことであるとし,“財又はサービス(資産)を顧客に移転する”とは,財又はサービス(資産)に対する“支配”を顧客に移転することであるとします(IFRS/BC 117)。

 これにより,IFRS第15号は,企業が財又はサービスの“支配”を顧客に移転したときに履行義務を充足し,収益を認識する考え方(支配アプローチ)を採用します。

 この支配アプローチは,①従来の工事進行基準を“一定の期間にわたり充足される履行義務”に分類することにより,一貫性のある収益認識モデルとすること,②複数要素契約において従来のリスク・経済価値アプローチの難点を克服することに役立っています。

● 工事進行基準と一定の期間にわたり充足される履行義務

● リスク・経済価値アプローチと支配アプローチ

 

8.基本となる原則

 

 新基準は,契約に基づく収益認識の原則を根本原理とし,資産負債アプローチ,配分後取引価格アプローチ,履行義務アプローチ,支配アプローチを採用することにより理論的な枠組みを構築しています。

 新基準は,このような理論的な枠組みを構築することにより,顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質,金額,時期及び不確実性に関する有用な情報を財務諸表利用者に報告するために,約束した財又はサービスの顧客への移転を,当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように収益を認識することを基本となる原則としています(第16項,第115項)。

投稿者: 弁護士 片山 智裕

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